貝塚クラブ 鬼マネの日記

貝塚クラブは千葉市若葉区のママさんバレーのチームです。 鬼マネは貝塚クラブに入部してもう25年くらい経ちまして、いつの間にかチーム最古参になっておりました。 ブログにはバレー以外に、鬼マネの日々のことや、千葉市の情報など、色んなことをツラツラ書いております。

家庭婦人連盟所属。

千葉市(1ブロック)のチームです。

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離婚日記 鬼マネシングルマザーへの日々 vol.5

調停終了まで

■2004.9.24 最後の調停(7回目で終了)

終った。
長かったような、終わってみればあっけなかったような。
そんなことも終ったから言える事で、調停が始まる1時間前になってからというもの、今までで一番ひどい動揺で、だから切羽詰ったんだと思うし、もうこんな思いは嫌だと、だからこそ決められたのであって。

朝6時。
部活の朝練に行くみっちーに起こされる。
目が覚めてみて思い出したけど、調停が不成立になる夢を見てた。

6時半。
弁護士に、探偵の調査資料を持ってくるように言われてたので、実家に預けてあった写真やビデオの証拠品を父にもってきてもらう。
でもこんなに早く来なくても良かったのに・・・。(眠)

7時から8時半。
父と今日の打ち合わせ的な会話をしつつ、小鬼の幼稚園の準備をする。
父を見送り、入れ替わりに母からの電話。
作戦会議的な会話をしばしして、最後に言われた。
「大丈夫、みんなで応援するから。」
このところ活動休止状態だった涙腺が一気に活動を始めた。
着替えて、メークをし始めたら、急に胃が痛み出す。
今までも調停の日は胃が痛くなっていたけれど、今日のはド級だった。
息をするだけで痛い。
おまけに吐いた。

9時。
小鬼を幼稚園に送り、銀行へ。
彼からの生活費の振込みを確認した。
毎月のこの確認作業の緊張も、バリバリにストレスなので、もう解放されたいと思った。

9時50分。
家裁のそばの駐車場に車を停めた。
事務局長からメールが届いていた。
調停が金曜日で、事務局長は仕事が休みなので、毎回心配してくれていた。
調停が終ると事務局長に電話をして、そのまま家に寄るのがお約束になっている。
激励のつもりのヘンテコなメールに、ずいぶん和ませてもらった。
今日はついよわっちい返事を送ってしまった。

家裁の建物に入って、家事調停のフロアへ。
エレベーターを降りて、バッタリ彼に会ってしまった。
あまりの胃痛のおかげで、無表情なまますれ違えた。
一瞬彼がむっとした顔をしたので、それで今日はいい結果が出るかも?と思った。
いつもは彼の方が私の予想に反して余裕のある顔をしてたからだ。
期待と不安、とでも言っとこう。

10時20分。
10時から調停は始まっていて、先に彼が呼ばれていた。
相手方待合室に調停員が呼びに来た。
私の顔を見ると、いきなり渋い顔をされて、また何かよろしくないことがあったのがわかった。
「彼はあなたが会社の上司に会ったことで、今後の会社での待遇に不安が出てきてしまったので、解決金として決ってた金額が払えなくなりそうだと言ってます。」
8月にみっちーが彼に会いに会社に行った時に、その時間を利用して彼の上司に会った時のことを言っていて、彼は私がもの凄い剣幕で怒鳴り込んだ、みたいに言ったらしい。
私は調停で真実しか言ってこなかった。
彼を陥れるようなことも、侮辱することも一度も言わなかった。
なのに彼は、こうして嘘ばかりつく。
真実を捻じ曲げて、自分の都合よくできるように私を非難する。
そして侮辱し続けた。
待合室で待ってる間に、事務局長からの返事を読んであった。
『今日は暴れてもいいぞ。人のためなら泣いたり暴れたりするのに、自分のことだと何でできないんだ?』
どうしてできないんだろう?と考えてた。
意識して抑えてたわけじゃなく、今までその必要がなかったからだ。それだけのこと。

私は前回の調停から、1ヵ月半、本当に考えた。
いろんなことを考えて、たくさんの人に会って話しを聞いて、自分の気持ちと色んな意見を混ぜこぜにして、ベストな解決はどれかを探しまくった。
自分に不利な方向に進んでいる事で、半分投げやりになっていたのを、友人たちに「後悔しないようにしろ。」と言われて、必死に考えた。
それなのに彼は何を考えてたかって、この期に及んで、まだ私の行動ひとつを取り上げて、非難を繰り返してる。
せっかく進んだ話し合いを、またもやゼロに戻そうとしてて、私が必死になってた間に、彼は必死にそんなすぐばれる嘘を考えてたのか。
おかげでキレた。
私が上司に会った理由、そのときの会話の内容、上司の反応など、事実だけを説明した。
最後の最後で、調停員にもわかったらしい。
どちらが本当のことを言い続けてたのか。
どちらがまともなのか。

「お願いです。もう今日で終りにして下さい。私はこの1ヵ月半、今日で終わりになると思ってたから、なんとかがんばった。もう限界です。助けてください。」
机に突っ伏して号泣した。
もう、本当に彼から解放されたい。
それだけだった。

「この9ヶ月、彼が私への不満だと言ってたことを、私は全部ちゃんとやってきました。
仕事もしました。家計だって、彼からもらった生活費と自分のパート代でまかなった。子供たちも今までと変わらずちゃんと生活してます。
でも彼は何をしたんですか?
自分のせいでこうなっていながら、彼はお金の工面もしない、生活は自由気ままになったし、売ると言ってた車だって未だに売ってないじゃないですか。
証拠だってこうしてあるのに、私は彼女のところに怒鳴り込みにも行ってないし、彼に嫌がらせもしてない。
彼を困らせることは何ひとつしてないのに、彼はここで私を悪く言うことばかりじゃないですか。
法律は弱い人を守るためにあるんじゃないんですか?無責任でずるい人に便利に作られてるみたいじゃないですか。
今までここで皆さんに一生懸命話してもらったことを、彼は毎回こうやってめちゃくちゃにしてる。
調停を侮辱してるのと同じじゃないんですか?」
今までの調停の場で、私がここまで必死に訴えたことはなかったはずで、全員が最後まで聞いてくれたこともなかったはずで、調停員が私を守ろうとしてくれたのも初めてだった。
「私たちも解決させてあげたい。もうあなたはやり直すことはできませんね?」
「できません。」
「では、もう決めてください。あなたの気持ちひとつです。離婚を150万円で買ったと思ってください。」
もうひとりの女性の調停員も初めて必死で言っていた。
「信じてもらえないかもしれませんが、私たちは彼に本当に強く言ってるんです。あなたに言ってるより数倍強く言ってるし、怒ってもいます。それでも彼はうんと言わない。最後には自己破産すると言い出したし、この調停も不成立にして構わないと言ってます。彼にこれ以上言ったら、今日あなたは離婚できないです。」
おかしいと思った。
彼の方が離婚したかったはずで、条件だって彼の言った金額まで譲歩したのに、今度はそれものめないと言い、だったら上の子の養育費の支払いが終ってからの分割でいいと言ってるのに、それもうんと言わない。
月1万円でいいと言っても、将来が不安だから約束はできないと言ってるという。
「父に電話させて下さい。」
部屋を出ると弁護士さんがすごい勢いで言った。
「わかったでしょ?彼は離婚したくないのよ。別居のままもできないと言ったでしょ?本音を言ったのよ。彼の親と実家で同居して欲しいっていうのが彼の本音なのよ。考えてみて。離婚したいなら7年後の約束で離婚できるのにそれをしない。あなたならどう?するでしょ?」
思考回路がショートしそうだった。
最後の最後で離婚したくないなんて聞いても、もう嫌だ。ばかやろうだ。
父に電話して状況を説明した。
「どうすればいい?」
父は激怒していたと思う。
「もう離婚しちゃえよ。ふざけやがって。」
そう言いながらも、
「でも離婚したくないってことなら、お前の気持ち次第だぞ。自分で決めていい。」
と、静かな声で言われた。
深呼吸して、泣きながら答えた。
「離婚させてください。」

弁護士さんはもう一度確認した。
「ほんとにいいのね?」
「離婚します。」
部屋に戻って改めて調停員に気持ちを伝えた。
「さっき言ってたあなたの気持ちをもう1回言ってください。」
ファイナル・アンサーだ。
調停員の目を見て、ゆっくり落ち着いて言った。
「離婚します。」
次の瞬間、調停員は走って部屋を出て、裁判官のところに行った。
私たちは調書の下書きが出来る間、また待合室で待たされた。

心臓はバクバク言ってるのに、頭は熱くなりすぎてるみたいにぼーっとしてた。
一気にいろんなことを考えすぎると、こんな風になるんだなと思った。

しばらくしてまた呼ばれ、部屋に入ると、調停員と裁判官と書記官と、そして彼がいた。
終わりだ、これで終れる。
そう思って興奮してた。
席に座っていても気持ちが高ぶって、涙が止まらなかった。
めんどくさい説明なんていいから、早く終りにしてくれと思ってた。
裁判官が調書の確認をするのに、私と彼に返事を求めると、だんだん彼の返事が遅れがちになって、そのテンポが不愉快だった。
面会権の説明をされて、また返事を求められると、今度は彼は下を向いてしまっていて、返事をしようとしなかった。
「なんだ?こいつ。」と思ったら、泣いていた。
うつむいて、顔を赤くして泣いていた。
結婚して14年。彼の泣き顔を見たのは5回目だった。
もう二度と見ることもない。
どういう意味の涙かは、私にはわからなかった。
わかってもしょうがない、もう終ったんだから。

先に私たちが部屋を出た。
弁護士さんは私になのか、彼になのか、少しもらい泣きしていて、
「かわいそうよ、彼泣いてたじゃない。いいの?ほんとにいいの?」
私は弁護士さんの腕をつかんで、エレベーターに押し乗せて、急いで1階のボタンを押した。
「終ったんですよ。先生。早く帰ろう。」
なんだか慌てた。
誰かが追いかけてくるはずもないのに、早く家裁の建物から出ないといけないような気がして。
外に出て、弁護士さんに今後の手続きや処理のことを説明されたけれど、ほとんど頭に入らず、何度も聞き返してしまった。
「体に気を付けて。後からガクっとくるからね。」
「本当にいろいろありがとうございました。」
早く帰ろう。早くここから離れよう。まだそんなことを考えてた。

怒涛の1日だった。
この9ヶ月間、いろんなことを考えてると、最後はいつも彼への恨みつらみに行き着いてた。
過去の記憶が蘇って、何もかもが信じられなくなった。
アルバムの中の彼の全てが、嘘に見えた。
そして自分を責めた。
幸せを望んでただけのつもりだった。
現在(いま)を諦めても、未来は信じようと思ってた。
そうやって今を諦めたことが、未来も壊してしまったんだと、一番嫌いな後悔をしてた。
楽しかったことも、嬉しかったことも、全部嘘だったと思うと、悔しくてしょうがなかった。
きっとどれかは真実だと、いくら信じようと思っても、こなごなになったガラスの記憶は、元通りにはならなかった。
だから彼を憎んで、そして自分を恨んだ。
その真っ黒な気持ちに潰されないでいることに、一生懸命だった。
いつか切れてしまいそうな糸を、ピンと張りきってしまわないように、余力を残そうとしてたせいで、周りには不自然に穏やかだと思われていたらしい。
怒らないわけがない。
恨んだり、憎んだりしないわけがない。
でもその気持ちをマックスにしてしまったら、私は今度はそんな自分に後悔し続けたと思う。
子供たちに、母親が父親を恨んで憎んで、鬼になった姿を見せるわけにはいかなかった。

とにかく終った。
解放された。
『自分へのご褒美』で、今はまだ次のことは考えなくてもいいんじゃないかと思う。

離婚日記 鬼マネシングルマザーへの日々 終わり