貝塚クラブ 鬼マネの日記

貝塚クラブは千葉市若葉区のママさんバレーのチームです。 鬼マネは貝塚クラブに入部してもう25年くらい経ちまして、いつの間にかチーム最古参になっておりました。 ブログにはバレー以外に、鬼マネの日々のことや、千葉市の情報など、色んなことをツラツラ書いております。

家庭婦人連盟所属。

千葉市(1ブロック)のチームです。

ブログにはバレー以外に、千葉市の情報など、色んなことをツラツラ書いております。


離婚日記 リラの咲く家

本当ならまっすぐ行く道を、急に右に曲がって、元の家の前を通ることにした。
なんとなく、ただなんとなく、久しぶりに見てみたかっただけで。

家を建てたとき、ネコの額ほどの小さな庭に、いくつかの樹を植えた。
四季ごとに咲いたらいいと思ったので、わざと花咲く時期が違う樹にした。
春早く咲く梅。
夏に咲く紫陽花。
そして、5月に咲くというライラック
なんでも良かったわけではなかった。
ライラックという花の響きが、私にとって幸せの意味を持っていた。
それも根拠があるわけではなく、やっぱりただなんとなく。
なんとなく、ライラックが好きだった。
咲いてるところを見たわけでもないのに。

ライラックは私があの家に住んでる間は、一度も花を咲かせなかった。
やっと花芽が出たと思うと、青虫に全部きれいに食べられてしまった。
今年こそは、とそれからは花芽が出ると気を付けて見ているのだけれど、タイミングが悪くあっという間にわいた青虫に食べられてしまっていた。
咲かないのかもしれないと諦めていた。
離婚が決り、家を出ることになっても、ライラックをどうしようとは思わなかった。
どうせ咲くことはないと思っていたし、もう幸せの象徴ではなくなってしまったからだ。

角を曲がって、人気のない元の家が目に入るより前に、庭の白い花が目に入った。
ライラックが満開だった。
本当に満開だった。

小鬼が車の後ろでボソッと言った。
「なんで誰もいなくなってから咲いてるんだ。
あの家に置いてきた花は、みんなかわいそうだ。」
去年は2つ3つしか咲かなかった紫陽花も、ああして満開になるのだろうか。
リラの咲く家。
何を言おうとしているのか、私にはわからない。