貝塚クラブ 鬼マネの日記

貝塚クラブは千葉市若葉区のママさんバレーのチームです。 鬼マネは貝塚クラブに入部してもう25年くらい経ちまして、いつの間にかチーム最古参になっておりました。 ブログにはバレー以外に、鬼マネの日々のことや、千葉市の情報など、色んなことをツラツラ書いております。

家庭婦人連盟所属。

千葉市(1ブロック)のチームです。

ブログにはバレー以外に、千葉市の情報など、色んなことをツラツラ書いております。


離婚日記 鬼マネシングルマザーへの日々 vol.3

調停(2回目、3回目まで)

■2004.3.4 調査報告

K探偵から調査報告書ができたので取りにきて欲しいと電話があった。
報告書には調査当日の彼の写真や、彼女のマンションの写真や、彼女の身元についてなどが書かれていて、それと別にビデオがあった。
K探偵に説明を受けながら、一緒にビデオを見た。
数分に編集されたビデオだったけれど、当日の彼の様子がバッチリおさめられていた。
数ヶ月ぶりにこんな形で彼に再会しているのが不思議だった。
腰痛を悪化させ、ヘルニアと診断されたと言っていた彼は、私たちに最後に見せた様子とは別人だった。
階段を登る事も車に乗り込むことさえも容易にできなかったはずの彼は、立ったりしゃがんだり普通にしていた。
彼女と並んで笑顔でいる彼を見ることより、そっちの方が腹が立った。
ただやはり鬼マネは冷静だったようで、K探偵も鬼マネの様子は不思議に写ったらしい。
「大丈夫ですか?いきますよ。」
と気遣いながらビデオを見せたことから、大概の奥さんは取り乱したりするらしい。
ただあまりに鬼マネが平気で見るので、油断したらしく、
「ご主人は女性にもてるんでしょうね~、いい男だし、優しそうだしな~。私もあやかりたいたいですね~。」の発言にはむっときて、「私には全然やさしくなかったですけどね。」と冷たく言ったら、しまった、という顔をしていた。(笑)

やっぱりプロはすごい!というのが報告書を見ての感想。
鬼マネは実際に建物を見たし、自分でも張り込みしたり、写真やビデオも撮ってみたりしたので、自分との違いが歴然だというのがはっきりわかった。
多分ビデオは玄関部分が撮れる向かいの建物の中から撮ったと思うし、写真も連続して部屋から出たところから建物から出てくるところまで撮られてたので、複数のチーム体制をとったというのがわかった。(実際に3チームでの調査だったそうだ。)
ただ方法については企業秘密らしく教えてもらえなかった。(笑)
報告書には他に、相手の女性の住所、氏名、年齢、勤務先、実家や父親についての記載や、現住所以前の住まいなどについても書かれていた。
要するに、探偵に調べられれば何でもばれてしまうということで、もっとお金を払えば、盗聴なんかもしてくれるそうだ。(ただし部屋の中での会話などのテープなどは裁判では証拠として使えない。不貞の事実が明らかになっていない場合などで、相手に「どうよ?」状態で使用したり、事実関係を明らかにすることを目的にしているそうだ。)

ちなみに張り込みなどの調査本番当日に、旅行などの遠出に出かけられると、「どうしますか???」状態で連絡が入ってしまうらしい。
そうなると追加料金っつーことになるが、大抵の場合妻は調査を続行してくれとなるらしい。そりゃそうだ。(笑)

■2004.3.15 T弁護士と打ち合わせ、正式に代理人として依頼

2回目の調停を前に打ち合わせした。
探偵の調査の報告をして、証拠が取れたことになったので、今後の方針を具体的に決めた。
T弁護士は淡々と話して、攻撃的な感じはほとんどない雰囲気の人だけれど、鬼マネの気持ちを良く理解してくれた。
この日も鬼マネにいきなり「これからどうしますか?」とずばっと聞いてくるのだけど、返事に戸惑っていると、
「もう気持ちは決ってるって顔してますね。離婚の方向でいいですか?」
と、さらっと言ってくれて、そこからはサクサク打ち合わせできた。
1回目の調停後も鬼マネは彼への気持ちもあって、離婚はしたくないと迷っていたのだけれど、実はこの数日前に離婚すると気持ちは決めていた。
それについてはT弁護士にはひと言も言ってなかったので、離婚でいいか?と言われたのは背中を押された感じで、スッキリした。

この日、正式にT弁護士に代理人になってもらう話しが出た。
お金のことがあったので、決定は保留して帰宅したけれど、鬼父は賛成。
鬼母は金額を聞いて不安になっていたらしいけれど、鬼父が説得して最後は承諾。
3日後の18日に弁護士料を振り込み、正式に鬼マネの代理人として依頼した。
次の調停には同席することになった。

代理人として正式に依頼すると、その事件全般を請け負ってくれることになるので、それまでの相談をして1回ごとに支払っていた相談料などは支払わないで良くなります。
依頼する時に、大体の金額は教えてくれますが、それは事件のケースによってさまざまとなります。
要するに成功報酬ということになるので、慰謝料(解決金)の金額の10%に実費プラスってことになるそうです。(養育費などは含まれません。)
弁護士さんの方で、大体の取れる金額の目安はわかるみたいだし、どのくらいの期間かかるとか、どのくらいもめるかとかは、予測できてるみたいです。
なので、依頼人の方で鼻息荒くして法外な金額をぶん取ろうとしても、弁護士さんには「それは難しいぞ?」というのはわかってるみたいです。(笑)

これは鬼マネ個人の考えですが、女性の権利とか、妻の権利を主張して、夫に非を認めさせることにムキになっても、お互いに感情的になるばかりでくたびれてしまうということ。
弁護士さんの中には、こういうことをガンガン言っちゃってくれる人もいるみたいですが、T弁護士は違いました。
調停中は物足りないと少し不満に思うほど彼に対して責めることはほとんどなかったのですが、それはT弁護士が何に重きを置くかを考えていたからだったみたいです。
鬼マネのケースだと、早くから鬼マネが離婚を決意していたことで、離婚後の鬼マネたちの生活を確保することを重要視してたみたいです。
T弁護士は彼に高額の慰謝料を支払えそうにないということを読んでたみたいですし、その理由を鬼マネのせいで家庭が崩壊したと言うことを主張して、最低限のことしかしないつもりだというのを予測してたみたいです。
ベテランなだけに、彼の主張しようとしていることが、法律上では通らないし、ばかげているということで、そこに論点をおくつもりは最初からなかったようです。
簡単に言えば、「女房と別れて今の女と一緒になるつもりなら、女房の悪口並べて正当性を主張しようとするなんてバカなこと考えてないで、男らしくちゃんと払うもの払って、鬼マネたちの生活も考えてやらんかい。」という方針だったってコトらしいです。

代理人として正式に依頼すると、調停の同席や事前の相談、調停期間中のトラブル全てに対応してくれます。
とはいえ、弁護士さんと言うのは恐ろしく忙しくハードなスケジュールをこなしているようで、なっかなか連絡が取れず、仕方なくFAXや手紙で連絡したこともありました。
なぜかT弁護士は携帯電話を持たないようで、ほんとにこの点は苦労しました。
後半は、弁護士事務所の人に用件を伝えると、その内容で急を要するかどうかを判断しているらしいというのがわかったので、事務所の人にかなり詳しく用件を伝えておくようにしました。

■2004.3.18 みっちーの卒業式

『もう泣かないと決めた日』に書いてあります。

onimane.hatenablog.com

■2004.3.25 別居後3回目の給料日

許されるなら、ぶっ殺したい。
ぶっ飛ばしたいとか、ぶっ叩きたいとか、そういうレベルを超えた。
消えて欲しい。
私の前から、この世から。
そしたらこんな風に、忘れた頃に不愉快な気分にさせられなくて済むし、一切の不安からも解放される。
今、私が願うのは、夫が記憶のひとコマになることだ。

日記に過激な言葉で書いたほど、キレた。
父にも「もう顔も見たくない。」と言ったし、父も吐き捨てるように「とことん腐った男だ。」と言った。
生活費は前回減額してきた金額のまま。(会社に頼んで給料を2箇所に分け、減額した分は別口座に振り込みするようにした。)
私からの要望は完全に無視されたことになった。(前回減額した金額の分を振り込めと頼んでいた。)

こちら側の対抗策として、減額された分に相当する車のローンと自動車保険料などの支払いはしないことにした。
カードの明細や携帯の請求書などが自宅には届かなくなったので、住所変更をしたらしい。

■2004.3.26 調停(2回目)

初めてのT弁護士同席での調停。
少し遅れていたT弁護士より先に調停員に会い、代理人を立てたことを申し出ると、やたらと驚かれた。
到着したT弁護士は、彼に不貞の事実があることを認めてもらい、その上で話し合いをしたいというようなことを簡潔に調停員に伝えていた。
待合室に戻ると、T弁護氏は開口一番「あの調停員、ちょっとだめだな。」ともらした。
親身に聞いてくれると思っていた私には、意外な言葉だったけれど、それを裏付けるような展開になった。

調停員は彼に不貞の事実を確認したが、「仕事が遅くなった時に泊まらせてもらったりする人で、同棲はしていないということでした。」と簡単に言ってのけ、それで済むのか?と思っているこっちのことはお構い無しに相変わらず彼からの私への不満についての内容にされた。
T弁護士もむかついたらしく、
「そんな理由では離婚は成立しないですよね?それは向こうには伝えてもらってるんですか?」という始末。
「あなたが今後の生活を改善する条件を出せば、それ次第で離婚はしないでもいいようなことをご主人は言っております。」と、私に離婚を回避するための条件を提示しろと言われた。
何について話し合っているのか途中でワケがわからなくなった。
私が言い出したことじゃないのに、私が責められていて、夫が言っている私の悪いところを直せと言われているんだと理解できるまで時間がかかった。
女の家に泊まっていると認めたのに、なんでこんな展開になるんだ?と混乱していたら、T弁護士が会話に入って、今日はこれでという事になった。
次回は1ヵ月後となったが、釈然としなかった。

T弁護士の事務所に移動して、次回の対策を相談することになった。
調停になれば彼が言ってる事の非常識さをわからせることができると思っていたし、弁護士をつければ簡単で有利に進むと思っていたので、落胆は大きかった。
彼が離婚はしなくてもいいと言い出したことで、私たちの方向性は大きく変わることになったし、彼がそう言い出した以上、離婚は私からしかできず、裁判にしても最低レベルの慰謝料しか取れないと言われた。
T弁護士は婚費請求が認められるだろうから、このまま別居という形をとったらどうか?と提案されたけれど、名案とは思えなかった。

明るい展開になるだろうと思って待っている両親に、最悪の結果を伝えるのは辛かった。
思っていた通り、二人の落胆は大きく、3人とも無口になってしまった。
実家で報告を終えて帰ろうとしていると、彼から携帯に電話があった。
調停の後、自宅に寄っていたらしく、パスポートと車のスペアキーがどこにあるかを聞かれた。
最初は普通に話していたのだけど、だんだん怒りが込み上げてきて、言い合いになった。
「離婚したいって言い出したのはそっちでしょ。それで今度はしなくてもいいってどういうことよ。」
夫は離婚の意思は変えていないし、そのことは調停員にも言っているのに聞いてくれないと言う。
T弁護士の言葉を思い出してつい言ってしまった。
「それなら調停員変えてよ。言ってることが毎回違ってて、振り回されて、こっちだってどうすばいいかわからないじゃない。うちの弁護士も言ってた。あの調停員はダメだって。」
調停員の変更は、申立人からしかできない。
彼も同じ事を感じていたらしく、「俺もそう思ってたんだ。」などと言っていた。
何かの話しから、来月から生活費は12万にすると言い出した。
これにはほんとにキレて、
「私に気持ちがないとか、顔も見たくないほど嫌ってるとか、それはそれでいいわよ、でも私を苦しめれば子供たちを苦しめることになるって、どうしてわからないのよ。」
と泣きながら絶叫した。
彼は何を言い出すかと思ったら、
「生活ができないなら子供は引き取る。両親に頼んで面倒みてもらうし。」
ときたので、
「どうしてなんでも自分が思うとおりにできると思えるのよ。子供たちにそれでいいか、聞いてみなさいよ。」
と怒鳴ると黙ってしまった。

「調停員に聞いてないの?あなたが言ってる理由では離婚はできないのよ。どうしたら金払わなくて済むかばっかり調べてないで、自分がやってることはどれだけおかしいかを調べてよ。」
と言うと、
「離婚ができないから、だったら別居だなって思ったから、弁護士に相談して聞いて、生活費は最低限で12万払えばいいって言われたんだ。」
彼のほうも会社で紹介された弁護士に相談したそうで、その上で12万円という生活費を叩きだして来たそうだ。(弁護士にあなたの月収ならこの金額だけ払えばいいし、婚費請求の申し立てをされてもその金額になるだろうと言われたらしい。)
最低限のことだけしかしようとしないことが間違ってないか?というと、また黙った。

でもやり取りの中で、彼は相手の女性は過去に付き合っていた人だという言い方をした。
それを問いただすと、どうも調停員が私たちに言ったこととは微妙に違っていることがわかった。
彼は調停では、私が不貞の事実があると言っている女性は、過去に付き合ってた人だと言っていることと、泊まらせてもらう女性と言うのは、また別の会社の同僚だと説明しているそうだ。
それを調停員はひとりの女性のことだと勝手に勘違いしているんだと説明した。
理解力のない調停員もバカだと思ったけれど、不貞の事実があるのにもう別れてると言えば通ると思ってたり、エッチはしてないで泊まっているだけだと言えば女性の家に泊まることもOKだと思い込んでる彼もバカだと思った。
だいいち過去じゃなくて現在進行形で、その証拠も掴まれてるし、女性の家に泊まれば男女の関係じゃないといくら言っても一般的には認められるものじゃないって事をわかってないこともおかしい。

父に「もう電話切れ!」と怒られたけれど、最後に本気で怒鳴った。
「どうして本当のことを言わないのよ。私がちゃんと誠意を見せてできるだけのことをすればどうする女かってわかってるはずでしょ?どうして私にここまでさせたのよ!」
ビデオの中で笑っていた夫の顔が浮かんだ。
あれを見せたらどんな顔をするだろう。

頼むから弁護士を雇ってくれと言うと、
「弁護士雇う金なんかない。親はどっちも入院しちゃったし、もう金も借りた。」と泣き言を言い出した。
「私だって借りたわよ!でもみんな助けてくれてる。あなただってやましいことがないなら頭下げて頼めばいいじゃない。自分の主張ばっかりしないでよ。こんなことしなくちゃいけなくなったのは、全部そっちが言い出したからでしょ。自分が正しいと言い張るなら、頭下げて頼めば助けてくれるんじゃないの?」
親が入院したのは自分のせいだとは思わないのか、心配かけているせいだとは考えないのか。
自分ひとりの身勝手な行動のせいで、自分の周りの全員が泣いていることはなんとも思わないのか。
胸に手を当てて考えても、痛みは感じないのか。
「私が何をしたか言ってみてよ。全部あなたの言うとおりにしてきた。その挙句にこれじゃない。散々振り回して離婚だって、誰が納得するのよ。」
答えない。
「普通の女はこんな目にあったら、自殺するとか嫌がらせするとか、まともじゃなくなるのよ。私はどうよ。しっかりしてるわよ。いつだってこうしてきた。これがいけなかったって言われたわよ。いけないって言われたって、こうするしかなかったのよ!」
以前の彼なら私がここまで怒鳴れば電話を切っていた。
話し方が優しくなっていた。
自分に負い目があると言っているみたいなものだと、自分ではわかっていないだろう。
「もういい、私は代理人たてたんだから、用があるなら弁護士と話して。」

数時間後、入院しているはずのお義父さんから電話があった。
母が入院しているなんて嘘だと言うので、確かめるために携帯に電話をしたので、その着歴を見てかけてきたらしい。
お義母さんも入院はしていないらしかった。
嘘ばかりだ。
本当のことは話さないつもりなら、それでいい。
もう絶対に信じない。
夫にメールした。
「入院は嘘。また嘘をついたね。」
返事はなかった。

■2004.4.15 T弁護士と打ち合わせ

3回目の調停を前に、T弁護士と打ち合わせをした。
今後についてを話す前に、私の気持ちを確認された。
前回会ってからの1ヶ月間で、離婚するという気持ちは自分の中では決っていた。
「夫は今まで私がなんでも許してきたせいで、自分は正しいと勘違いしてます。
でもそれは通らないとわからせたいし、後は金額で子供たちに誠意を伝えるしかないと思ってます。
最終的には一般的な金額しかもらえないとしても、私と離婚するのは簡単なことじゃないとわかって欲しいです。」
と言うと、T弁護士は、
「今度は条件付きで離婚してもいいと言いましょうか。」
と、調停での作戦会議を進めた。

最後にT弁護士はいつも通り静かに、でもはっきりと言った。
「あなたと子供さんにとって、プラスになることを私は考えてます。それはだんなさんと相手の女性にしっかり責任をとってもらって、あなたが泣き寝入りしないで済む方法のことです。がんばりましょう。」
頼もしい言葉だと思った。
もう何があっても大丈夫だ。
自分の気持ちをもう一度伝えておいた。
「夫は今まで私がなんでも許してきたせいで、自分は正しいと勘違いしてます。でもそれは通らないとわからせたいし、後は金額で子供たちに誠意を伝えるしかないと思ってます。最終的には一般的な金額しかもらえないとしても、私と離婚するのは簡単なことじゃないとわかって欲しいです。」
次の調停は、夫と同席させてもらうことを決めた。
「だんなさんが青くなった顔、見たいでしょ?見せてあげるからね。」
いたずらっぽく笑って言われて、吹き出してしまった。

■2004.4.23 別居後4回目の給料日と調停(3回目)

調停当日はたまたま給料日だったので、朝一番で銀行に記帳に行った。
振込みは7万円カットから、今度は12万円に減額されていた。
目の前が真っ暗になったし、怒りを越えてしまった。
これでもかと正当な主張だと言い張って攻撃し続ける彼に、いい加減キレた。

初めて離婚の条件について、お互いに提示して、同席での話し合いもした。
T弁護士との作戦で、最初のコチラからの条件はふっかけることに決めてあったので、金額は折り合わなかった。
高く言ったのは、彼にこの離婚がそれだけの大きさのことであることをわからせないということと、調停員へのアピールのつもりだった。
それだけの金額を提示するということは、こちらに全く非はないと主張することになる。

同席での話し合いを拒む夫もいるそうだ。
同席を希望したのにも目的があった。
T弁護士に彼がどういう人間かを見てもらいたいと言うのと、私たち夫婦がどういう関係なのかを会話などのやり取りから判断して欲しいということ。
彼が同席を拒まないことは私にはわかっていたけれど、T弁護士は半信半疑だったらしい。
思った通り、彼は部屋に入って来た。

彼は相変わらず私の生活態度や金銭感覚についての不満を並べ、それが離婚の理由だと言った。
言い返さずに最後まで聞いた。
もう私を悪く言う事に対して、何も感じない。
彼にはそれしか言う事がないからだ。
「これに対してあなたは何かありますか?」
興奮したりもしていたのに、それについては静かに答えた。
「彼が言うようにこうなった原因は私にあるんでしょう。
それは私にはわからない理由ですから、今更どうすることもできません。
気持ちが離れていくことは止められないですし、価値観が違ったということになるのだと思います。
ただ、修復の努力をせずに、違うところに居場所を求めて、私とそこを比べて、やっぱりこっちはだめだから離婚したいというのでは、納得できません。」
調停員と記録委員が顔を上げた。
意外な反応だったし、やっぱりという気もした。
彼が話した私たちの13年間は、私が話した13年間とは全く違っていたらしい。

「彼はいつもあんな風に話すの?」
調停が終って、T弁護士が私に言った。
「話しの論点がどんどんずれていくのね。頭の悪い人じゃないんだろうけど、自分の都合の悪い話しになると、す~っと逃げて違う話しを出してくる。なまじ説得力のある話し方をするから、聞いちゃいそうになるんだけど、言ってることはとんちんかんだわ。」
終始黙って聞いていたかと思ってたら、さすがだなと思った。
私が何年もかかって気付いたことを、たった数分で見抜いた。
今回もそうだった。
金銭的なことをまた言っているので、
「じゃあその時計はどうしたの?」
「バイトして買ったんです。」
「じゃあ、サーフィンの道具は?一式買ったよね?」
「あれはもらったものもあるし。」
「じゃあグアムに旅行に行ったよね?あのお金は?」
マイレージがたまったから行ったんです。」
「飛行機代だけでは済まないでしょ?向こうで食事や遊んだりもするじゃない。」
「・・・。」
「山のように買った服は?ブランドの靴は?」
「・・・。」
「誕生日に買ってくれたカメラは?」
「・・・。」
「全部どこから出たお金で買ったの?」
「・・・・・。」
それでも高圧的な態度は崩さない。
でも彼が困った顔をするのを見たかったわけじゃない。
調停で言ったことは全て記録に残される。それが目的だった。
「車を売ると言ってて売らないじゃない。それで駐車場を借りたからお金がいるから、私たちの生活費を削るっておかしいじゃない。」
「だから節約しろって言ってるのにしないじゃないですか。」
「節約はしたって言ったでしょ?それでいくら差額が出せると思ってるの?あなたが削ってきた金額には遠く及ばない。」
「携帯を解約しろって言ってもしないじゃないか。」
「携帯は月に7000円程度しか払ってない。あなたが削ったのは7万円でしょ?」
「サークルの会費とか、ランチとか行ってるじゃないか。」
「もうやめてよ、主婦が行くランチなんて、高くたって1回1000円よ。それも月に1回行けるか行けないかじゃない。サークルの会費は月1000円よ。」
「・・・・。」
「何を考えてるのよ、こんな場所に来て、女房の不満並べて、それが嫌だから離婚したいって、奥さんが言うならともかく、だんなが言うなんて恥ずかしいと思わないの?みっともない。」
もう情けなかった。
税金の滞納についてもまた繰り返し言い、それも私が釈明すると、調停員も呆れ出していた。
でもこれで金銭感覚について、彼がどれだけ理不尽なことを言っていたかを証明できた。

私には絶対に頭を下げないのはわかっている。
女性問題に話しが進むと、どんどん墓穴を掘ってくれた。
言いたいこと言えばいい。
それは私にしか通用しないと、わかってないからいくらでもしゃべる。
「その女性とは前に付き合ってたと言ったじゃないですか。」
過去に女性と付き合っていたということを自分から認めた。
それは私は許しても、裁判所は許さない。
「その人(彼の不倫相手)には相談にのってもらったりはしてるよ、電話もしてるし、会って食事したりもするし。」
世の中のだんなさんは、女性に電話をかけていることがばれただけで、離婚騒ぎになるし、食事したなんて言語道断だ。それがわかってない。
だいいち真実は食事だけのつきあいじゃない。
調停員にも言われていた。
「大の大人の男女が、相談にのってもらうために会っていると言っても、それは通りませんよ。」
彼は自分がまずいことを言ってしまったことに、気付いた様子はなかった。
自分を正当化できているつもりだからだろう。
それでもいい。
世間には通用しないのだから。

「東京から通えないって言ってて、調停だと時間厳守で来れるのね。彼。」
私たちとの約束は1度として確約してくれたことはなかった。
いつも当日まで来れるか来れないかわからず、何度ヒヤヒヤしたかわからない。
1ヶ月以上先の予定なんて、決めて約束してくれたことなんて1度もなかった。

修復は不可能だと彼は言った。
「さっきもこっちの母親から電話があって散々責められました。私は今回のことは親にしか話してないのに、こっちは親戚中に話してます。修復なんてもうできませんよ。」
また話しの論点をずらした。
「こうやって彼は後から理由付けするんですよ、いつも。こうしたのが許せなかった、ああしたのが頭にきたって。だから私は恐くて何もできなかったし、言えなかった。親や親戚が怒るのは当然じゃないですか。」
そこで調停員が突っ込んで聞いてくれた。
「では、奥さんの両親や親戚が絶対に介入しないというのを条件にしたらどうなんですか?」
いい突込みだなと思った。
また黙ってしまった。
離婚は回避できない。
それがはっきりした。

■2004.4.24 被害妄想と不眠症

3回目の調停の翌日、バレーの大会で試合会場にいると彼から携帯に電話が入った。
実印と印鑑証明などのカードをよこせと言われた。
「それが渡せるかどうかはあなたが一番良くわかってるはずだ。」と拒否すると、まだごちゃごちゃ言うので、
「そういうものは全部実家に預けてしまったから、欲しいなら自分で取りに来ればいい。」と言うと、怒鳴られた。
大きい声を出すとか、感情のままに何かを言うことをしない人だったので、彼が相当イライラしているというのがわかった。
両親に「彼は次は暴力で反撃してくると思う。」とか「殺されるかもしれない。」と言うと、「そこまでするかねえ?それはないでしょう。」と言われたけれど、そうは思えなかった。

夜、寝ていても物音が気になって起きてしまったり、眠れなくなった。
いろいろ考えていると怖くなってきて、寝室の窓際の手が届くところにバットを隠して寝た。
調停で彼の言い分をひっくり返したことで、彼を追い詰めたと感じながら、結局そのことで自分が苦しむことになった。

みっちーにも「もし夜中に物音がして、お母さんが悲鳴をあげてたとしても、絶対に助けようと思ったりしちゃダメだよ。そっと外へ出て、隣の家でもどこでもいいから飛び込んで、警察に電話して。」などと言ってしまってたし、「今はお父さんに会わないで欲しい。」と言ってしまった。
みっちーが不安になるのはわかっていても、彼がもし暴力などで反撃してきたらどうしたら子供たちを守れるかと、最悪の状況になった時のことばかり考えていた。

■2004.4.28 婚費請求の申し立て手続きを始める

T弁護士から婚費請求の申し立て用の書類が届いた。
彼が調停後の電話で生活費を更に減額すると言っていたので、その防衛手段として早めに対処することにした。


裁判所に提出した申立書
申し立ての実情という項目には、

1 申立人と相手方は平成3年○月×日に婚姻届出をした夫婦であり両名の間には長女と長男がいる。
2 相手方は東京都○○区に所在する××に勤務しているが、「通勤に便利」という理由で○○市の実家から、通勤する旨、申立人に伝えて千葉市の自宅を出ている。しかし相手方は毎日○○市の実家から通勤しているのではなく、都内某所において宿泊していることが判明している。
3 相手方は千葉家庭裁判所に夫婦関係調整調停の申し立てをし、現在調停中である。
4 申立人は相手方から生活費として1月は金○円を受け取っていたが、2月と3月は金×円であったが、4月には金△円となった。5月には長女の中学校の給食費、夏の制服代、修学旅行代、部活動の費用が必要となり、4月分より生活費が増えることは明らかなのに、さらに相手方は申立人に渡す生活費を減額するおそれもある。

となっていた。
こういう書類の作成や提出は代理人であるT弁護士が全て代行してくれる。
雑談のような会話からここまでの文面を書くと言うのはすごいなあと感心。
この申し立ては、家事調停に関連した事件として扱ってもらうために、その旨手続きしてある。
同じ調停で、相手方と申立人の両方になっているのは面白いと思った。

■2004.5.1 保険会社とトラブル

鬼マネ家の保険はほとんどが鬼マネの同級生のHくんにお任せしてあれこれ入っているのだけど、自動車保険のことで彼から会社に連絡があって、そのことでちょっとまずいことになっていると言われた。
最初に彼が生活費をカットしてきた時に、車のローンとその他の車に関する費用は払わないと言ってあって、彼は返事はしなかったものの、納得していると解釈していた。(車は彼が最初に話し合った1月頭に乗っていってしまっていた。)
Hくんに頼んで、自動車保険の名義を彼から私に変えて、鬼父が買ってくれた軽自動車に内容を変更してあったのだけど、彼はそれについてクレームを入れてきたと言う。
ちなみにこの変更は、2月の段階でしてあって、この間彼が保険をどうしてるのかは聞いてなかった。
保険会社には、「GWに出かけようと思ってるのに、保険がないと行けないじゃないか。」と言ったそうだ。
それにHくんとは面識もあるし、鬼マネ家の保険はほとんどHくんにお願いしているのは知っているはずなのに、わざわざ本社に連絡し、「担当者は嫌いだから話したくない。」と言って、直接話せば早いものをそれをしないで嫌がらせのような事をする彼に失望した。

■2004.5.4 知人を介して相談

知人の紹介で離婚はせずに別居をしている人に会って話しを聞いた。
話しを聞いてT弁護士が最初に言ってた「相当の精神力が必要だ。」という言葉の意味がわかった。
その人は別居中全く生活費をもらえず、電気や電話なども止められたりしたという。
それでも仕事はせずに最高裁までもっていって、判決をもらったそうだ。
そこまで数年かかったというのを聞いて、もう一度自分の気持ちを整理してみることにした。

この時この人に自分が読んだという本を数冊もらった。
全部熟読した。
法的にはどうなのかというのがわかってきた。

■2004.5半ば 精神的な疲労ピーク

保険のトラブルなどで精神的に参りだしている。
夜なかなか眠れず、寝ても夢ばかり見て眠りが浅い感じ。
顔つきが変わってきてないか気になって、事務局長や他の友人に聞いてみたりした。

離婚日記 鬼マネシングルマザーへの日々 vol.4へ続く