- 作者: 久坂部羊
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2008/09
- メディア: 文庫
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これ、久しぶりに面白かったですわー!
鬼マネの読書タイムは、津田沼までの電車の中なんですけど、都賀駅で電車が来るまでに読み始めて、稲毛過ぎて「乗り過ごした?!」とハッとするかしないかで、面白さを計るというか。(笑)
この本は、それが何度もあったくらい、かーなり面白かったです。
先天性無痛症の登場人物が出てくる小説って、前にも読んだことあったんですけど、(脳男/首藤瓜於)この小説に出てくるイバラは、前に読んだのとは少し違って、痛みがない(わからない)から、人の気持ちも理解できないって解釈なんですね。
痛みがないから死に対しての恐怖もない。
相手の痛みもわからないから、死への恐怖を感じてることもわからない。
鬼マネは痛いのは普通に痛いので、痛みがないってことを想像するしかないんだけど、読んでると「ああ、そうなっちゃうかー。」って納得できちゃいました。
同時に医療に対しての考え方みたいなものが、テーマになってるんだけど、医療系の小説って、作者それぞれの考え方であろうことが微妙に違ってて、でもどっかで言ってることは同じかも?とも感じられて、毎回うーんってなります。
永遠のテーマなんでしょうねー。
人は誰でも生まれた瞬間に死に向かってるわけで、医者とか医療そのものってのは、あるべきなんだけど、結局みんな最後は死んじゃうんだし、どこまで必要なのかってのが、こういうの読んでるとわからなくなってきますです。
お医者さんもそのことを自問自答してるんだろうなーって。
もうひとつのテーマが刑法39条。
『心神喪失者の行為は、罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。』
これをテーマにした小説も、今までにも何冊か読みましたねー。
この小説の中では結局、必要だってことになってるんだと思うけど、これも被害者のことを考えると、やりきれない気持ちになるし、鬼マネ自身も、もし被害者の家族になったとき、しょうがないとは思えないと思うので、なんとも言えないなーと思いますです。
結末はともかくとして、結構なボリュームな小説ではありましたが、先へ先へと読みたくなったので、面白かったです。
おすすめでございます。